2019/11/19 ニュース記事を1件投稿しました。

【レビュー】「ライザのアトリエ」 アトリエは新たなステージへ、シリーズの『成功者』となった意欲作

出典元:コーエーテクモゲームス

2019年5月末の発表から約4ヶ月。延期する事なく、順調に発売に至ったコーエーテクモゲームスのゲームソフトブランド”ガスト”から2019年9月26日に発売されたPS4/Switch向けタイトル「ライザのアトリエ」。

これまでのアトリエシリーズと比較して、あまりにも順調すぎる発売までの流れにいささか不安があったのはたしかである。

しかし、本作はそんな不安を見事に打ち砕いてくれた。まず、本作はシリーズの中で最も意欲作であり、シリーズの『成功者』である事を述べておきたい。

シリーズファンとして、開発チームに感謝と敬意を払い、本レビューを綴ったしだいだ。

それだけで価値のあるキャラクターデザイン、それを表現する世代進化したグラフィック

発売前からその可愛らしさで大きな話題を読んだ主人公の「ライザ」をはじめとするキャラクターデザイン。各メディアにも取り上げられたが、トリダモノ氏が描いた初期の「ライザ」は現在のキャラとは程遠い、まるで別人のようなデザインだった。それだけ試行錯誤を繰り返し、生まれたキャラクター達はそれだけで価値のあるものである

出典元:コーエーテクモゲームス

ゲーム内のキャラクター達は、デザインされた美麗なイラストがそのままゲームに入り込んだような丁寧なライティングで、フェイスモーションも過去作より表情豊かになり、キャラクターのモーションも滑らかになったことで、いたる所でグラフィック表現の世代進化が感じられた。

時間変化により様々な彩を見せ、田舎の港町を匂わせる世界観

本作でライザ達が暮らしているのは、クーケン島と呼ばれる湖に浮かぶ島にあるラーゼンボーデン村。
村は自然豊かで、畑や展望台、街並みを少し歩くと対岸も姿を現し、とある田舎の港町のような雰囲気を匂わせている。

朝になると朝もやが覆う街並みに日差しが差し込み、昼にはさんさんと照りつける太陽が眩しいばかりに輝き、夕方にはオレンジ模様の夕日が美しくもどこか物悲しく沈んでいき、やがて無数に輝く星々が姿を表す。同じフィールドでも、時間変化によって様々な情景で世界が彩られる。

出典元:コーエーテクモゲームス

ひと夏の冒険」を謳う本作では、舞台となるラーゼンボーデン村を取り巻く夏の情景が、心地よい「アトリエサウンド」を添えて、キラキラとしたまばゆい光と細やかな描写で描かれている。

少年少女の成長と冒険を描く、親しみの湧く心温まるストーリー

物語は、「どこにでもいる普通の少女」ライザが、幼馴染のレントやタオと、刺激を求めてはじめての冒険に出かける場面からはじまる。

ふとしたきっかけで始まった冒険が、商家のお嬢様や不思議な力を持つ人々に出会い、様々な出来事が起こっていく中で、少女と少年らは成長し、冒険はやがて壮大なものになっていく

出典元:コーエーテクモゲームス

序盤は世界観の説明が丁寧になされるために少し展開が遅いように感じる場面もあるが、そのおかげで、各キャラごとにしっかり特徴あるキャラ付けがなされ、大人になりきれない少女、少年の成長の物語は、誰しもが親しみの湧く心温まるストーリーになっていくだろう。

住民の暮らしや街の発展に貢献する事で、物語に深みをもたせるクエスト

ラーゼンボーデン村で暮らす個性豊かな住民は、不景気な便利屋や、本が大好きな少女など、ひとりひとりが様々な背景や暮らしに対する悩みを抱えており、住民たちとコミュニケーションを取り、それぞれの悩みを解決していくことで、街が発展したり、住民の暮らしがより便利なものになっていく。

出典元:コーエーテクモゲームス

この一連の流れとなる「クエスト」は、過去作の酒場で依頼を受けるものよりも自然な流れでサブストーリーが楽しめるようになっており、物語により一層の深みをもたせるものとなっている。

戦略性とスピード感が増し、状況判断力が求められるアクティブバトル

本作の中で、一番挑戦的に感じたのはバトルシステムだ。
3人のパーティーメンバーで構成されるシリーズ初のアクティブバトルが採用され、バトル全体のスピード感が上がり、コマンド選択時も時間が経過するため、的確な状況判断力が求められる。

出典元:コーエーテクモゲームス

バトルの攻撃手段の基本はAP(アクションポイント)で管理される。APは通常攻撃などでモンスターにダメージを与えることで貯める事ができ、スキルや特殊コマンドを使用する場合は多くのAPを消費する。また、タクティクスレベルと称するシステムも導入。APを消費することでレベルを上げることができ、通常攻撃回数が増えたり、スキルダメージの上昇や特殊効果が発動したりと、様々な恩恵が得られる。

本作のパーティメンバーやモンスターにはそれぞれブレイク値が設定されており、被ダメージを受け、ブレイク値が0まで減ると、受けるダメージが増えたり、行動順が回るのが遅くなる「ブレイク状態」となる。それぞれが大ダメージを与える、受ける機会となっているのも戦闘にメリハリをもたらしている。

錬金アイテムの回数制限は廃止、パーティーメンバーごとに探索時に使用できる錬金アイテムをコアアイテムとしてセットし、CC(コアチャージ)と称されたポイントが失くなるまでコアアイテムが使い放題となっている。なお、コアアイテムはコンバートすることができ、そのアイテムが探索中使用できなくなる代わりに、CCを回復することができる。

出典元:コーエーテクモゲームス

まだまだ様々なシステムがあり、ここまでの説明だけでも複雑に聞こえるバトルシステムだが、それぞれの要素は段階的に開放されるようになっており、物語の進行によってチュートリアルが入り、自然と理解できるようになっているので安心して欲しい。

全ての要素が揃いきったバトルでは、通常攻撃でAPを貯めるか、一気に攻撃してブレイクを狙うか、敵の弱点をつくアイテムを使用するかなど、様々な戦略を練ることができ、今まで以上に奥が深く、ターン制とは一味違ったスピーディーなバトルを楽しむことができる。

採取道具の選択により素材を発見する喜びが増えた、手探り感を楽しめる採取システム

錬金するために必須不可欠な採取システム。本作から、採取する際に採取道具を選択できるようになった。

例えばフィールドの草むらで採取を行う場合、採取道具が”鎌”なら塩草、”虫網”ならナナホシといったように、同じ採取場所でも異なる素材が採取できるようになっている。

出典元:コーエーテクモゲームス

採取ポイントについてだが、『基本的に』ミニマップには表示されなくなった。最初は不便に思っていたのだが、フィールドごとの採取ポイントが多くなっている事や、前述の採取道具の組み合わせもあって、原点回帰ともいえる採取ポイントを発見する楽しさや新たな素材を発見する喜びを味わえるだろう。

また、各採取地やアトリエには、「ファストトラベル」を用いて瞬時に移動する事が可能になり、移動の煩わしさを感じる事はなくなった。

視覚的にも分かりやすくなり、時間を忘れて没頭できる調合システム

調合システムはツリー表示が採用され、より直感的に分かりやすくなった。それぞれのマスに対応する素材を投入していくことで、簡単に完成するものになっており、おまかせ材料投入」機能を用いれば、瞬時に調合することも可能だ。

出典元:コーエーテクモゲームス

完成品を作るだけなら極めて容易だが‥そこはゲーマーの性。品質やアイテム効果、付与する特殊効果を考慮しだすと作成時間が一気に跳ね上がる。

図鑑とにらめっこしながら採取地に出掛け、素材を採取してきてアトリエに戻り、部屋に籠もって調合に耽る‥すると、また特定の素材が足りなくなり、再度採取地に出掛けていく‥そうした苦労を重ね、やがて理想どおりのものが錬金できた時の達成感は何とも言い難い。

またリビルド」機能もあり、素材を還元して手に入れることのできる「ジェム」と呼ばれる宝石を用いることで、完成品に対して効果を追加したり、品質をあげたりと手を加えることができるようになった。

出典元:コーエーテクモゲームス

このように、プレイヤーによって簡単に、または気が済むまで調合に没頭することができ、分かりやすくも非常に奥深いパズル要素も兼ね揃えた、やり込み甲斐のある調合システムに仕上がっている。

プレイヤーにゲーム進行を委ねる自由度の高いゲーム構成

本作は、メインとなるストーリーの目的はあらすじのメモがワンボタンで確認でき、次の目的がひとめで分かるようになっている。

本筋となる物語を進めてもいいし、気になる住民の悩みを解決してあげるのもいいだろう。納得のいく調合品ができるまで部屋に籠もることもできるし、レベル上げのために、採取地を転々として、バトルの日々に明け暮れる事も可能だ。

秘密の隠れ家となるライザのアトリエは、内装や外装がコーディネートできたり、仲間たちが持ち寄った様々な装飾品によって、賑やかになっていく。シリーズファンならニヤリとする装飾品もあるので眺めてみるのもまた一興だろう。

出典元:コーエーテクモゲームス

ゲームの進行は全てプレイヤーに委ねられ、時間制限もなく、やりたい事に、納得のいくまで取り組めるのも本作の魅力だ。

隊列によっては、戦闘時のカメラアングルにやや難ありか

冒険に出掛けるパーティーメンバーを編成する際、キャラごとの特性に合わせて「前衛」、「後衛」に分けた「隊列」が組めるのだが、設定した隊列によっては、バトル中に操作キャラ以外のメンバーの行動が把握しづらい場合があった。戦闘中のカメラアングルは切替ができるよう、アップデートで改善してほしいところ。

新たなステージへの一歩を強く感じた、シリーズの成功者であり意欲作

このように、本作は新要素とシリーズの伝統が織りなす素晴らしい作品となっている。

「トトリのアトリエ」以来のグラフィックの世代進化を遂げ、「シリーズの新たなステージへの一歩であり、シリーズの成功者である」と断言できるほどのクオリティの高いシステムの数々が衝撃と感動を与えてくれた。

もちろん新シリーズのスタートであり、これまでの過去作を体験したことのないプレイヤーも存分に楽しめるので、これを機会にぜひ手にとってもらいたい。

今後のアトリエシリーズの展開に期待が高まるばかりである。